ハッピー平凡な人生の日記

僕の人生をとても薄く平べったくして長くして載せます

魂(いのち)が震えてんしょ。

結論から言うと。スーツを忘れた。スーツを忘れたのだ。

『スーツを忘れただけなのに』。つまんなそうな続編を作ってみてもいい。そう、スーツを忘れたのだ。

 

うちの大学にはスーツデーならぬ私服ではなくスーツを着ていく日というものがある。俺はこの日を意味わかんない日だと認識していた。

そうだ。今思い返せばなんか1か月前くらいから言っていた。というかメールでも届いてた気がする。メールで届いていて「ふーん」で済ましていたような気もする。というか前日に友達がそんなことを匂わせていたような気もする。

 

そんなことはいい。とりあえず俺はその日にスーツを忘れたのだ。理由か?そんなのどうでもいい。理由なんか探して後悔紛いのことをしているやつは二流だ。俺は瞬間にスーツを忘れたという事実だけを受け止めた。

4階に向かうために階段をのぼる。のぼるたびにスーツ姿が増えているような気がしたが、特に気にしてなかった。

知ってるやつがスーツを着ていた。俺は嫌な予感がした。嫌な予感というかもう嫌だった。帰ろうかなと思った。絶対忘れたじゃんと思った。

ただ俺は狂わしいほど堂々とした。いけるじゃんと考えた。逆に。逆にいけるじゃんと。

僕の唯一話せる友達も迷惑そうにしていたが俺は狂わしいほど堂々としていた。なぜ迷惑そうかだって?そりゃあたりまえさ。同じ学部300人以上いる中で私服なのは俺だけだったのだ。しかも白とか黒とかならまだいいが、青だったのだ。青、青ってむっちゃ目立つのだ。

 

ただ俺は堂々としていた。周りが「あいつ、やばいな」と思いながらも話しかけないあの独特な雰囲気を感じ俺はぞくぞくしていた。俺は今生きている!と感じた。高校の時を思い出した。あのホワイトボード事件まではいかないが同じような気持ちを思い出した。

 

俺はあえて胸を張って歩くことを心掛けた。大学に入って史上一番目線を寄せられたが何も気にしていないふりをした。そうだ、後悔は恐れなのだ。堂々としておけばいいのだ。堂々としておけば周りも「あ、なんかこれは世間的に普通なんだ。いじっていいんだ」と思い俺に絡みやすくなるのだ。

それが高じて、3限目が終わるころに俺の周りに人が集まるようになった。ちょっと喋ったことがあるやつや全くないやつ、男女問わずに次の時間までに俺をどうにかしようとわざわざ集まって話し出したのだ。このスーツデーは4限目までにスーツを着ていればいいという日で、みんながまるで弁当のおかずを分けるが如く俺に服を貸し出したのだ。

 

これは俺があまりに堂々としていたからのことである。これを見て君たちが学ぶのは「失敗しても第一に反省せずに俺のせいじゃないと思おう」ということである。そうすれば暗闇に光が差してくる。服と同じ青色のLEDライトが。

 

俺はそう思い借りたスーツと借りたネクタイなどをつけてみた。この俺の生きざまの集大成、それを俺は身に着けたのだ。

 

 

無理だ。

 

うん。無理だ。そう感じた。たりない。肝心なシャツがないぶん中の青が目立ちすぎる。これでいくとあまりにもカジュアルすぎるスーツになってしまう。「え!?今ヨーロッパではこうなの!?」て感じのスーツになってしまう。

周りは「いけるww」やら「絶対無理www」など他人事のように言っている。まぁ他人事なんだけど。

気のせいかなと思い鏡でもう一度見てみたが全然無理だ。全然足りない。ミッキー見に行ったのに韓国のパチモンミッキーを見せられた感じだ。ほんとに若干スーツの幻影が見えるくらいだ。

 

だが、俺は堂々とすることにした。堂々としとけばイケると思ったのだ。

 

 

 

 

なぜかイケた。なぜかバレなかった。いや、実際はバレていたのかもしれない。だが、俺があまりにも堂々としていたため、先生たちが勘違いしたのだろう。だから四捨五入したら成功だ。

もう一度言う。君たちがこれを見て学ぶのは「いや、俺は悪くない。見てこの目。まっすぐ現実(いま)を見てんしょ。魂(いのち)が震えてんしょ。なぁ」の精神である。

 

まぁ俺はこの後ちゃんと親に怒られたので反省しようと思う。

 

さようなら。